TOP相続税ガイド相続手続きの期限と流れ
Practical Guide

相続手続きの
期限流れ
完全ガイド

大切な家族が亡くなった後、悲しむ間もなくやってくるのが「相続手続き」です。
特に3ヶ月・4ヶ月・10ヶ月という期限は法律で決まっており、一日でも遅れると大きな不利益を被る可能性があります。
いつまでに、何をすればいいのか。全体のロードマップをご案内します。

最終更新: 2026年3月21日

全体スケジュール

死亡日3ヶ月以内

遺言・財産調査 / 借金の確認(放棄)

4ヶ月以内

準確定申告(故人の所得税)

10ヶ月以内

遺産分割協議 / 相続税の申告・納付

あなたは今どこ?

DANGER ZONE

絶対に遅れてはいけない
「3つの期限」

相続手続きには多くのステップがありますが、特に法律で厳しく期限が定められているのが以下の3つです。これらを過ぎると、取り返しのつかない不利益を被る可能性があります。

死後 3ヶ月以内

相続放棄・限定承認

亡くなった方に借金がある場合、3ヶ月以内に手続きしないと借金も相続することになります。

遅れるとペナルティあり
死後 4ヶ月以内

準確定申告

亡くなった方に所得があった場合、4ヶ月以内に代わりに確定申告をする必要があります。

死後 10ヶ月以内

相続税の申告・納付

期限を1日でも過ぎると延滞税がかかり、配偶者控除・小規模宅地等の特例も使えなくなります。

遅れるとペナルティあり
Quick Answers

「いつまで?」に、先に答える

3か月以内

相続放棄・限定承認

自己のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内が原則(民法第915条)。借金が多い場合や財産の全容が不明な場合はこの期限内に方針を固める必要があります。期限前に家庭裁判所への伸長申立ても可能。

相続放棄の基礎知識を見る
4か月以内

準確定申告

相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内。故人に給与・年金・不動産収入があった場合が対象。給与のみで年末調整済みのケースは不要な場合もあります。相続人全員が共同で申告するのが原則。

準確定申告に対応する税理士を探す
10か月以内

相続税の申告・納付

相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内(相続税法第27条)。この期限を過ぎると配偶者控除・小規模宅地等の特例が全て使えなくなり、無申告加算税+延滞税が発生します。遺産分割の完了を待てません。

相続税の基礎知識を見る
3年以内(義務)

相続登記(2024年義務化)

不動産を相続したことを知ったときから3年以内に登記申請が義務化(不動産登記法第76条の2)。2024年4月以前の相続も対象で、期限は2027年3月末まで。正当な理由なく放置すると10万円以下の過料。

不動産相続のガイドを見る
期限を過ぎると何が起きるか

具体的な損失と罰則

「税金が少し増えるだけ」ではありません。使えなくなる控除と現金ペナルティを整理します。

何を失うか具体的な影響
配偶者控除最大1億6,000万円まで非課税 → 一切使えなくなる
小規模宅地等の特例土地の評価額が最大80%減 → 適用不可
無申告加算税税額の15〜20%を追加徴収
延滞税年2.4%(2か月超は年8.7%)が日割りで加算

試算例:相続税500万円のケースで期限を1年間過ぎた場合、延滞税だけで約43万円、無申告加算税が75〜100万円。合計で最大143万円超の追加負担になります。

Step by Step

時系列でわかる詳細ガイド

いつ、何を、誰に相談すべきか。迷わないためのロードマップ。

Step0
死亡直後 〜 7日以内

死亡届と葬儀の準備

To Do List

  • 死亡診断書の受け取り(医師から)
  • 死亡届の提出(死亡を知った日から7日以内)
  • 火葬許可証の取得
  • 年金受給停止の手続き(国民年金は14日以内、厚生年金は10日以内)
  • 公共料金・携帯電話などの解約・名義変更の準備
プロのアドバイス銀行口座の凍結前に葬儀費用だけ引き出す場合は仮払い制度(民法909条の2)を使うのが安全です。勝手に高額を引き出すと「単純承認」とみなされ相続放棄できなくなるリスクがあります。
Step1
1ヶ月目 〜 2ヶ月目

遺言書の確認と財産調査

To Do List

  • 遺言書の有無を確認(自宅・公証役場・法務局の遺言書保管制度)
  • 相続人の調査(出生から死亡までの連続した戸籍謄本の収集)
  • 相続財産の調査(通帳・不動産権利証・株式・借金の督促状などを洗い出す)
  • 法定相続情報一覧図の作成(法務局で交付、各機関提出に使い回せる)
Step2
3ヶ月以内【重要期限】
期限遵守

相続放棄・限定承認の判断

To Do List

  • プラスの財産とマイナスの財産(借金・保証債務)を全て洗い出して比較
  • 相続放棄する場合は家庭裁判所に申述(申述書・戸籍謄本・登記事項証明書等が必要)
  • 財産の全容が不明なら期間伸長の申立て(3か月経過前に裁判所へ申請)
  • 全員が放棄する場合は次順位の相続人も放棄が必要になることがある
プロのアドバイス相続放棄の期限を過ぎた後に借金が判明するケースも珍しくありません。「借金があるかわからない」場合でも期間伸長を申し立てれば動けます。借金を相続するかもしれない、と感じたら迷わず司法書士か弁護士へ。
Step3
4ヶ月以内

準確定申告

To Do List

  • 故人の1月1日から死亡日までの所得を集計(給与・年金・不動産・事業等)
  • 税務署へ申告・納税(相続人全員が連名で提出)
  • 不要ケースの確認:給与のみ年末調整済み・年金400万円以下で他収入20万円以下など
プロのアドバイス準確定申告では医療費控除や社会保険料控除を使えます。申告期限の4か月は短いため、不動産収入・事業収入があった場合は相続開始直後から税理士を動かすのが安全です。
Step4
10ヶ月以内【最大難所】
期限遵守

遺産分割協議と相続税申告

To Do List

  • 遺産分割協議書の作成(相続人全員の署名・実印が必要)
  • 相続税額の計算(基礎控除・各種特例の適用判定を含む)
  • 現金で一括納付が原則。不足する場合は延納・物納の申請
  • 分割未了の場合は法定相続分で仮申告し、後に修正申告(更正の請求)
プロのアドバイス遺産分割がまとまらないまま10か月を過ぎると、配偶者控除(最大1億6,000万円非課税)と小規模宅地等の特例(土地評価額最大80%減)が一切使えなくなります。揉めそうな場合は相続税申告の前に弁護士を入れることを検討してください。
Step5
相続登記 — 3年以内(義務)

各種名義変更・相続登記

To Do List

  • 不動産の相続登記(2024年4月より義務化、3年以内・過料10万円以下)
  • 2024年4月以前の相続も対象で猶予期限は2027年3月末まで
  • 預貯金・株式・投資信託の名義変更・解約払い戻し
  • 自動車の名義変更(使用者が死亡したまま乗り続けると保険問題も)
プロのアドバイス「登記は急がなくていい」は過去の話です。2024年4月以降は義務化されており、放置すると過料10万円以下の対象になります。司法書士に依頼すれば遺産分割協議書の作成と同時に進められます。
Common Mistakes

よくある勘違い

これらを信じていると期限を過ぎるリスクがあります。

「3か月は死亡届の提出日からカウントされる」

起算点は「相続開始を知ったとき」、つまり原則として死亡を知った日からです。死亡届は7日以内に提出が必要ですが、その提出日が起算点になるわけではありません。

「遺産分割が終わらないと相続税申告ができない」

未分割のまま法定相続分で仮申告を行う必要があります。分割を待って申告しないと期限超過になります。分割確定後に修正申告(または更正の請求)で精算します。

「相続登記は急がなくていい」

2024年4月から義務化されました。相続を知った日から3年以内に申請しないと10万円以下の過料の対象になります。2024年以前の相続も遡って対象です。

「相続税を払う現金がなければ申告しなくていい」

申告期限は納税能力に関わらず同じです。現金がない場合は延納(最長20年の分割払い)や物納(不動産で納付)の制度があります。申告しないと加算税が上乗せされます。

Next Action

期限を守るための
最短ルート

「何から始めればいいかわからない」という方もご安心ください。
システムに従って進めるだけで、期限内の申告が可能です。

01

現状の把握

「誰が相続人か」「財産はいくらあるか」を確定させます。 確認ツールを使うと、一般的な相談分野と主な期限の目安を整理できます。

確認ツールを試す
02

専門家の選定

遺産分割の交渉が必要なら弁護士、申告なら税理士。 あなたの状況に合わせて、実績のある専門家を選びましょう。

専門家を探す
03

手続きの実行

専門家と委任契約を結べば、面倒な戸籍収集や書類作成はすべて丸投げ可能。 あなたは報告を待つだけです。

Q&A

よくある質問

Q

相続税の申告期限は何ヶ月ですか?

A

相続開始を知った日の翌日から10か月以内です(相続税法第27条)。例えば1月1日に相続が開始した場合、同年10月31日が申告・納付の期限です。この期限は遺産分割の完了・未完了に関わらず延びません。

Q

相続放棄の期限は何ヶ月ですか?

A

自己のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内(民法第915条)に、家庭裁判所へ相続放棄の申述を行う必要があります。借金の有無が不明な場合は、期限内に家庭裁判所へ期間伸長を申し立てることが可能です。

Q

準確定申告はいつまでに必要ですか?

A

相続開始を知った日の翌日から4か月以内に、管轄の税務署へ故人の所得税申告を行う必要があります。給与所得のみで年末調整済みの場合など、不要なケースもありますが、確認なく放置するリスクがあるため税理士への確認を推奨します。

Q

相続税の申告期限を過ぎたらどうなりますか?

A

無申告加算税(税額の15〜20%)と延滞税(年2.4〜8.7%、令和6年現在)が課されます。さらに深刻なのが、配偶者控除(最大1億6,000万円まで非課税)や小規模宅地等の特例(土地評価額を最大80%減額)など、あらゆる優遇措置が使えなくなる点です。

Q

相続登記の期限はいつですか?罰則はありますか?

A

2024年4月1日の法改正により、不動産を相続したことを知ったときから3年以内に相続登記の申請が義務化されました(不動産登記法第76条の2)。正当な理由なく申請しない場合は10万円以下の過料の対象となります。2024年4月以前に発生した相続も対象です。

Q

相続開始を知った日とはいつのことですか?

A

通常は被相続人(亡くなった方)の死亡を知った日です。死亡の事実と自分が相続人であることの両方を知った日が起算点となります。後から遺言や別の相続人の存在が判明した場合は、その事実を知った日が新たな起算点になることがあります。

Q

遺産分割が10か月以内にまとまらない場合はどうすればいいですか?

A

遺産分割が未完了でも相続税の申告期限は延びません。未分割のまま法定相続分で仮申告を行い、分割確定後に修正申告(または更正の請求)を行います。ただし未分割申告では配偶者控除・小規模宅地等の特例が適用できないため、その分だけ税負担が増える点に注意が必要です。

Q

3か月の相続放棄の期限を過ぎてしまいました。まだ間に合いますか?

A

原則として3か月の経過後は相続放棄はできません。ただし「相続財産が全くないと信じたことに相当の理由がある場合」など、財産の存在を知ったときから3か月以内であれば認められることがあります(最高裁平成20年6月27日判決)。迷わず弁護士または司法書士に相談してください。

Q

相続税がかかるかどうかはどうやって確認しますか?

A

相続財産の合計額が基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超える場合に申告が必要です。例えば相続人が配偶者と子2人の場合、基礎控除は4,800万円です。生命保険金・死亡退職金には別途非課税枠(各500万円×法定相続人の数)があります。

Q

相続税の延滞税は何パーセントですか?

A

令和6年分の延滞税率は、納期限の翌日から2か月以内が年2.4%、2か月超が年8.7%です(この税率は毎年変わります)。これに加えて無申告加算税15〜20%が上乗せされるため、相続税500万円の案件で1年間放置すると延滞税だけで約43.5万円、合計最大143万円超の追加負担になります。

Q

海外在住の相続人がいる場合、期限は変わりますか?

A

期限自体は国内と同じです。ただし海外在住の相続人は印鑑証明書の代わりに在外公館(大使館・領事館)のサイン証明書等が必要となる場合があり、書類収集に数か月かかるケースがあります。海外相続人がいる場合は特に早期着手が重要です。

Q

相続税を自分で申告できますか?

A

法律上は可能です。ただし不動産がある場合は土地の評価額の算定・小規模宅地等の特例の適用判定が複雑で、税理士が行う評価と自己申告の評価に数百万円単位の差が生じることがあります。不動産・非上場株式・相続人複数のケースでは税理士依頼が実務上推奨されます。

Q

相続放棄をすると、生命保険の受取りはどうなりますか?

A

受取人が指定されている生命保険の死亡保険金は「固有財産」のため、相続放棄をしても受け取れます。ただし「相続人」と指定されている場合は、法定相続人として取得するため、受取金額が相続税の課税対象となる点は変わりません。

Q

申告期限を過ぎたことを自ら申告した場合(自主申告)と税務署に発覚した場合では違いがありますか?

A

違いがあります。期限後であっても自主的に申告した場合、無申告加算税は原則15%ですが、税務調査の事前通知前であれば5%に軽減される場合があります。税務調査が始まってから指摘された場合は20%です(国税通則法第66条)。発覚前の自主申告が大幅に有利です。

期限は待ってくれません

相続手続きは一生に何度も経験するものではなく、誰もが初心者です。
しかし期限を過ぎたペナルティは容赦ありません。
手遅れになる前に、専門家の力を借りて最短ルートで完了させましょう。

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