銀行口座・仮払い制度

銀行口座凍結後の相続手続き仮払い・書類・解除の流れ

親が亡くなると銀行口座は凍結されます。仮払い制度(上限150万円)の計算式、銀行別の解除手続き、必要書類の揃え方を解説します。

仮払い制度の上限額
min(残高 × 1/3 × 法定相続分, 150万円)
例:残高600万円、相続人2人(均等)の場合
600万円 × 1/3 × 1/2= 100万円
上限との比較min(100万円, 150万円)
受け取れる金額100万円

口座凍結はいつ起きるか

銀行口座の凍結は、銀行が名義人(被相続人)の死亡を知った時点で行われます。死亡診断書の提出や相続人からの連絡をきっかけに凍結されるケースが大半ですが、新聞の訃報欄や銀行行員の把握によって凍結されることもあります。

「銀行に連絡する前に引き出しておこう」という考え方は危険です。凍結前に引き出した金額は遺産の一部として取り扱われ、相続税申告や遺産分割協議で問題になる可能性があります。

注意

死亡の事実が銀行に知られた時点で凍結されます。届け出前の引き出しは後で問題になることがあります。まずは仮払い制度の利用を検討しましょう。

仮払い制度とは(民法909条の2)

2019年の民法改正により、相続人は遺産分割が完了する前でも、一定額を金融機関から単独で引き出せる「遺産分割前の払戻し制度(仮払い制度)」が認められました。根拠条文は民法909条の2です。

制度の上限額は「残高 × 1/3 × 法定相続分」か「150万円」のうち低い方です。各金融機関につき150万円が上限なので、複数の口座がある場合はそれぞれで申請できます。

計算例①:残高900万円・相続人3人(均等)の場合

900万円 × 1/3 × 1/3= 100万円
上限150万円と比較→ 100万円が受取額

計算例②:残高1,800万円・相続人2人(均等)の場合

1,800万円 × 1/3 × 1/2= 300万円
上限150万円と比較→ 150万円が受取額(上限適用)

口座解除の手続きの流れ

相続人全員の合意が得られた後、遺産分割協議書をもとに銀行に払い戻し・名義変更の手続きを行います。概ね以下のステップで進みます。

1
STEP 1: 銀行に連絡して必要書類を確認する

まず各銀行の相続手続き窓口に連絡し、必要書類の一覧をもらいましょう。銀行によって書式や必要書類が異なります。

2
STEP 2: 戸籍・遺産分割協議書などを準備する

被相続人の戸籍謄本(出生〜死亡を連続)、相続人全員の印鑑証明書、遺産分割協議書(相続人全員の実印)などを揃えます。

3
STEP 3: 窓口に書類を提出する(郵送可の銀行もあり)

メガバンクや地方銀行では原則窓口対応ですが、ネット銀行や一部の金融機関では郵送対応も可能です。

4
STEP 4: 審査後に払い戻し/名義変更が行われる

書類が揃えば1〜4週間程度で払い戻しまたは名義変更が完了します。不備があると差し戻しになるため、事前確認が重要です。

銀行手続きに必要な書類

必要書類は銀行によって異なりますが、以下が一般的に求められる書類です。事前に各銀行の窓口またはウェブサイトで最新情報を確認してください。

書類名取得場所費用目安備考
戸籍謄本(連続)市区町村役場450円/通出生〜死亡が連続するもの全通
被相続人の住民票の除票市区町村役場300円程度死亡後に取得
相続人全員の戸籍謄本各自の市区町村450円/通現在のもので可
相続人全員の印鑑証明書市区町村役場300円程度発行後3か月以内が多い
遺産分割協議書自作または司法書士・弁護士実費のみ〜数万円相続人全員の実印が必要
通帳・キャッシュカード自宅保管不要なければ残高証明書の発行を依頼
法定相続情報一覧図(任意)法務局無料複数銀行対応に便利

よくあるトラブルと対処法

問題:遺言書があっても銀行は戸籍を求めることがある

対処:公正証書遺言でも、銀行は相続人の確認のために戸籍謄本の提出を求める場合があります。遺言書と戸籍謄本を両方準備しておくと手続きがスムーズです。

問題:相続人の1人が協力しない場合

対処:遺産分割協議書を作成するには全員の合意が必要ですが、仮払い制度は各相続人が単独で申請できます。協議が進まない間も、生活費の緊急需要に対応できます。

問題:通帳・カードが見つからない場合

対処:銀行窓口で「残高証明書」の発行を依頼することができます。相続税申告では死亡日現在の残高証明書が必要となるため、早めに取得しておきましょう。

よくある質問

Q&A

よくある質問

Q

銀行口座はいつ凍結されますか

A

銀行が名義人の死亡を知った時点です。届け出前の引き出しは後日問題になることがあります。

Q

凍結された口座からお金を引き出せますか

A

仮払い制度を使えば一定額を引き出せます(上限150万円/金融機関)。相続人全員の同意がなくても単独で申請できます。

Q

仮払い制度の計算式を教えてください

A

min(残高 × 1/3 × 法定相続分, 150万円)です。例えば残高600万円・相続人2人(均等)の場合は 600万円 × 1/3 × 1/2 = 100万円となります。

Q

仮払いに相続人全員の同意は必要ですか

A

不要です。各相続人が単独で申請できます。ただし取得した金額は遺産分割の際に取得済み分として扱われます。

Q

口座解除に必要な書類は何ですか

A

戸籍謄本(出生〜死亡の全連続)、相続人全員の印鑑証明書、遺産分割協議書(または遺言書)、通帳・カードなどが一般的に必要です。銀行ごとに異なるため事前確認を。

Q

銀行の手続きにどのくらいかかりますか

A

書類が揃えば1〜4週間程度です。書類不備があると差し戻しになり、さらに時間がかかります。

Q

遺言書があれば手続きは簡単になりますか

A

公正証書遺言なら比較的スムーズです。自筆証書遺言は家庭裁判所の検認を受けた後でないと銀行が受け付けないことがあります。

Q

複数の銀行に口座がある場合はどうすればいいですか

A

各銀行に個別に手続きが必要です。法定相続情報一覧図を法務局で取得しておくと、戸籍謄本を何度もコピーしなくて済むため便利です。

Q

ネットバンクの相続手続きは窓口と違いますか

A

多くはオンラインまたは郵送対応です。手続き方法は各行のウェブサイトで確認してください。窓口がない分、書類の準備が特に重要です。

Q

残高証明書はいつの時点で取得しますか

A

相続税申告用は「相続開始日現在(死亡日)」のものが必要です。遺産分割協議の前に各金融機関に請求しておきましょう。

Q

口座がどこにあるか分からない場合はどうしますか

A

全国銀行協会の「遺族のための手続きガイドライン」や預金保険機構のサービスに相談できます。通帳や郵便物、確定申告書の控えから口座を探す方法もあります。

Q

相続手続きが終わるまで口座の凍結は続きますか

A

原則はいです。ただし仮払い制度で一部引き出し、または遺産分割協議完了後に全額の払い戻し・名義変更が可能になります。

銀行手続きで迷ったら専門家に相談を

複数の金融機関への対応や書類収集は手間がかかります。司法書士や弁護士に依頼することで手続きをスムーズに進めることができます。

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