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計算方法・税率表

相続税の計算方法とは?速算表と計算例で5つのステップを解説

最終更新: 2026年10月29日

相続税は、遺産全体にかかる「相続税の総額」を先に決め、それを実際に取得した割合で各人に配分する仕組みです。課税価格の求め方から速算表、2割加算と税額控除、家族構成別の早見表まで順に確認できます。

相続税の速算表(抜粋)
法定相続分に応ずる取得金額 × 税率 − 控除額
1,000万円以下10%
3,000万円以下15% − 50万円
5,000万円以下20% − 200万円
1億円以下30% − 700万円
税率は全8段階で、6億円を超える部分は55%です
自宅の机で書類と電卓を使って相続税を計算している人

この記事の結論

  • 1相続税は「相続税の総額」を先に計算し、実際に取得した割合で各人に配分します。総額は、実際の分け方に関係なく法定相続分で分けたと仮定して求めます。
  • 2税率は法定相続分に応ずる取得金額ごとに10%から55%までの8段階で、速算表の「税率 × 金額 − 控除額」で計算できます。
  • 3配分した税額から、配偶者の税額軽減や未成年者控除などを差し引きます。兄弟姉妹や孫養子などは2割加算されます。

相続税の計算の全体像

相続税の計算は、亡くなった方の遺産全体に対する税額を決める段階と、その税額を財産を取得した人ごとに割り振る段階の二段階に分かれます。この方式を「法定相続分課税方式」といいます。

遺産全体の税額(相続税の総額)は、実際に誰がいくら取得したかに関係なく、法定相続人が法定相続分どおりに取得したと仮定して計算します。遺産の分け方によって家族全体の税負担が大きく変わらないようにするための仕組みです。そのうえで、実際の取得割合に応じて総額を配分し、各人の事情に応じた加算や控除をして納付税額を決めます。

相続税の計算の流れ
STEP 1
各人の課税価格を求める
取得した財産 + みなし相続財産(非課税分を除く) − 債務・葬式費用 + 加算対象の生前贈与
STEP 2
課税遺産総額を求める
各人の課税価格の合計額 − 基礎控除額(3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数)
STEP 3
相続税の総額を求める
課税遺産総額を法定相続分で分けたと仮定し、各人の金額に速算表を当てはめて合計
STEP 4
総額を実際の取得割合で配分する
相続税の総額 × その人の課税価格 ÷ 課税価格の合計額
STEP 5
2割加算と税額控除をして納付税額を出す
一親等の血族と配偶者以外は2割加算。配偶者の税額軽減、未成年者控除、障害者控除などを差し引きます。
相続税の総額は、実際の分け方に関係なく法定相続分で分けたと仮定して計算します。分け方は、総額を各人に配分する段階ではじめて反映されます。

まず基礎控除を超えるかを確認

課税価格の合計額が基礎控除額(3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数)以下なら、相続税はかからず、この計算も申告も必要ありません。判定の方法は「相続税の基礎控除とは」で詳しく説明しています。

STEP1 各人の課税価格を求める

最初に、相続や遺贈で財産を取得した人ごとに「課税価格」を計算します。取得した財産を相続税の評価方法で金額にし、次のように加算と減算をします。計算結果の1,000円未満は切り捨てます。

区分内容
+ 取得した財産預貯金、土地・建物、株式、自動車など相続や遺贈で取得した財産
+ みなし相続財産生命保険金、死亡退職金など。相続人が受け取る分は、それぞれ500万円 × 法定相続人の数まで非課税
+ 相続時精算課税の贈与財産亡くなった方から相続時精算課税で受けた贈与。2024年以後の贈与は年110万円の基礎控除部分を除く
- 債務・葬式費用借入金、未払いの税金や医療費、通夜・告別式・火葬などの費用
+ 生前贈与の加算亡くなる前の一定期間に暦年課税で受けた贈与(現在は3年、段階的に7年へ延長)

財産の評価額は市場価格と異なる

課税価格に入れる金額は、国税庁の財産評価基本通達に沿った「相続税評価額」です。土地は路線価方式か倍率方式、建物は固定資産税評価額、預貯金は亡くなった日の残高に既経過利息を加えた金額、上場株式は亡くなった日の終値と、その月以前3か月の毎日の終値の月平均のうち最も低い金額で評価します。土地は市場価格より低く評価されることが多いため、売却予定の価格で計算すると税額を多く見積もることになります。

墓地や仏壇などの祭具、一定の公益事業用財産は非課税です。また、自宅や事業用の土地は小規模宅地等の特例で評価額を最大80%減額できる場合があります。

STEP2 課税遺産総額を求める

各人の課税価格を合計し、基礎控除額を差し引いた金額が「課税遺産総額」です。ゼロ以下になれば相続税はかかりません。

課税遺産総額
課税価格の合計額 − (3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数)

法定相続人の数には、相続を放棄した人も含めます。養子は、実子がいる場合は1人まで、実子がいない場合は2人までしか数えられません。

STEP3 相続税の総額を求める

課税遺産総額を、法定相続人が民法の法定相続分どおりに取得したと仮定して分けます。この一人ひとりの金額を「法定相続分に応ずる取得金額」といい、1,000円未満を切り捨てたうえで速算表に当てはめて税額を出します。全員分を合計したものが「相続税の総額」です。

法定相続分(民法900条)
相続人の組み合わせ配偶者ほかの相続人
配偶者と子1/2子全員で1/2
配偶者と直系尊属(父母など)2/3直系尊属全員で1/3
配偶者と兄弟姉妹3/4兄弟姉妹全員で1/4
配偶者のみ全部-
子のみ、直系尊属のみ、兄弟姉妹のみ-人数で均等に分ける

同じ順位の相続人が複数いる場合は、原則として均等に分けます。兄弟姉妹のうち父母の一方だけを同じくする人(半血の兄弟姉妹)の相続分は、父母の両方を同じくする人の2分の1です。

相続税の速算表(法定相続分に応ずる取得金額)
取得金額税率控除額
1,000万円以下10%-
3,000万円以下15%50万円
5,000万円以下20%200万円
1億円以下30%700万円
2億円以下40%1,700万円
3億円以下45%2,700万円
6億円以下50%4,200万円
6億円超55%7,200万円

たとえば法定相続分に応ずる取得金額が2,600万円なら、2,600万円 × 15% − 50万円 = 340万円です。速算表の控除額は、超過累進税率を一度の掛け算で計算するための調整額です。

STEP4 相続税の総額を各人に配分する

相続税の総額を、財産を実際に取得した人の課税価格の割合(按分割合)で配分します。法定相続人でない人が遺言で財産を受け取った場合も、その人の課税価格の割合で配分されます。

各人の算出税額
相続税の総額 × その人の課税価格 ÷ 課税価格の合計額
一つの円を三つに分けた部分を、母と子2人がそれぞれ持っている様子
相続税の総額は、実際に取得した財産の割合に応じて各人に配分されます。

按分割合に小数点以下2位未満の端数が出る場合は、全員の割合の合計が1になるように調整できます。家族全体の税額は総額で決まっているため、この段階で変わるのは「誰がいくら負担するか」です。

STEP5 2割加算と税額控除をする

相続税額の2割加算

財産を取得した人が、亡くなった方の配偶者と一親等の血族(子と父母)のどちらでもない場合、その人の算出税額に20%が加算されます。

2割加算の対象対象外
兄弟姉妹、おい・めい配偶者
遺言で財産を受け取った孫(代襲相続人でない孫)子(通常の養子を含む)、父母
孫養子(代襲相続人でない孫を養子にした場合)代襲相続人になった孫
親族でない受遺者-

税額控除

2割加算の後、次の税額控除を順に差し引いて各人の納付税額を求めます。控除の多くは申告書に記載してはじめて受けられます。

控除内容
暦年課税分の贈与税額控除生前贈与として加算した財産に、すでに贈与税を払っている場合、その贈与税額
配偶者の税額軽減配偶者が取得した財産のうち、1億6千万円か法定相続分相当額の多い方までに対応する税額
未成年者控除18歳未満の法定相続人:(18歳 − 年齢)× 10万円。1年未満の端数は1年に切り上げ
障害者控除85歳未満の障害者である法定相続人:(85歳 − 年齢)× 10万円。特別障害者は20万円
相次相続控除10年以内に続けて相続があり、前の相続で相続税を払った人から相続した相続人の税額を軽減
外国税額控除外国にある財産に外国の相続税がかかった場合の調整
相続時精算課税分の贈与税額控除相続時精算課税で払った贈与税。控除しきれない分は還付を受けられる

引ききれない控除の扱い

未成年者控除と障害者控除は、本人の税額から引ききれない分を、その人の扶養義務者の税額から差し引けます。配偶者の税額軽減については「配偶者の税額軽減とは」で要件と計算方法を詳しく説明しています。

計算例:遺産1億円、妻と子2人の場合

課税価格の合計額が1億円で、妻が5,000万円、長男が3,000万円、長女が2,000万円を取得したケースです。STEP1の課税価格はすでに求めたものとして、STEP2から計算します。

計算例 課税価格の合計額1億円、妻と子2人が相続人
STEP 2 課税遺産総額
1億円 − 基礎控除 4,800万円(3,000万円 + 600万円 × 3人) = 5,200万円
STEP 3 法定相続分で分けて速算表を当てはめる
  • 妻(1/2):2,600万円 → 税額 340万円
  • 長男(1/4):1,300万円 → 税額 145万円
  • 長女(1/4):1,300万円 → 税額 145万円
相続税の総額 = 630万円
STEP 4・5 実際の取得割合で配分し、税額控除をする
妻(5,000万円取得)配分 315万円納付 0円
長男(3,000万円取得)配分 189万円納付 189万円
長女(2,000万円取得)配分 126万円納付 126万円
家族の納付税額の合計 = 315万円
妻は配偶者の税額軽減で納付税額がゼロになります。子2人の納付税額の合計が、この家族が納める相続税です。

相続税の総額は630万円で、取得割合に応じて妻に315万円、長男に189万円、長女に126万円が配分されます。妻の取得額5,000万円は1億6千万円以下のため、配偶者の税額軽減で妻の納付税額はゼロです。家族全体で納める相続税は、子2人分の合計315万円になります。

仮に長女の取得分2,000万円を、遺言で孫(代襲相続人でない孫)が受け取った場合は、その孫の税額126万円に2割加算され151.2万円になります。誰が取得するかで、家族全体の税額が変わる例です。

相続税額の早見表

課税価格の合計額と家族構成から、家族全体で納める相続税のおおよその金額を確認できる早見表です。配偶者がいる場合は、配偶者が法定相続分を取得して配偶者の税額軽減を使ったと仮定しています。

相続税額の早見表(家族全体の納付税額)
課税価格の合計額配偶者と子子のみ
子1人子2人子3人子1人子2人子3人
5,000万円40万円10万円0円160万円80万円20万円
8,000万円235万円175万円137.5万円680万円470万円330万円
1億円385万円315万円262.5万円1,220万円770万円630万円
1億5,000万円920万円747.5万円665万円2,860万円1,840万円1,440万円
2億円1,670万円1,350万円1,217.5万円4,860万円3,340万円2,459.9万円
3億円3,460万円2,860万円2,540万円9,180万円6,920万円5,460万円
5億円7,605万円6,555万円5,962.5万円1億9,000万円1億5,210万円1億2,979.9万円
配偶者がいる場合は、配偶者が法定相続分(1/2)を取得し、配偶者の税額軽減を受けたと仮定した金額です。小規模宅地等の特例やその他の税額控除は考慮していません。

同じ1億円の遺産でも、配偶者と子2人なら315万円、子2人だけなら770万円と、配偶者がいるかどうかで税額は大きく変わります。配偶者が多く取得すると一次相続の税額は下がりますが、その配偶者が亡くなったときの二次相続で子の税負担が増えることがあるため、二つの相続を合わせて考えることが大切です。

端数処理と納付の方法

各人の課税価格と法定相続分に応ずる取得金額は1,000円未満を切り捨て、各人の納付税額は100円未満を切り捨てます。この記事の早見表や計算例は、説明のため万円単位で表示しています。

相続税は、亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内に申告し、同じ期限までに原則として金銭で一括して納付します。一括での納付が難しい場合は、要件を満たせば延納(分割払い)や物納(不動産などで納める方法)を申請できます。期限に遅れると延滞税がかかります。

よくある計算の間違い

実際の分け方で相続税の総額を計算してしまう

総額は法定相続分で分けたと仮定して計算します。実際の取得額に速算表を当てはめると、税額を誤ります。

相続放棄した人を法定相続人の数から外す

基礎控除額や生命保険金の非課税限度額を計算する人数には、放棄した人も含めます。

特例を使った後の金額で申告要否を判断する

小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減は、申告してはじめて使えます。特例前の金額が基礎控除額を超えるなら申告が必要です。

孫への遺贈や孫養子の2割加算を忘れる

代襲相続人でない孫が財産を取得すると2割加算の対象です。孫を養子にしていても、代襲相続人でなければ加算されます。

土地を売却見込み額で計算する

相続税は路線価などの相続税評価額で計算します。市場価格で計算すると税額を過大に見積もります。

よくある質問

Q

相続税はどのような順番で計算しますか

A

各人の課税価格を求め、合計額から基礎控除額を引いて課税遺産総額を出します。それを法定相続分で分けたと仮定して速算表で税額を出し、合計したものが相続税の総額です。総額を実際の取得割合で各人に配分し、2割加算と税額控除をして納付税額を求めます。

Q

相続税の税率は何%ですか

A

法定相続分に応ずる取得金額に応じて10%から55%までの8段階です。1,000万円以下は10%、3,000万円以下は15%、5,000万円以下は20%、1億円以下は30%で、6億円を超える部分は55%です。

Q

遺産1億円で妻と子2人が相続人の場合、相続税はいくらですか

A

課税価格の合計額が1億円なら、相続税の総額は630万円です。妻が法定相続分の半分を取得して配偶者の税額軽減を使うと妻の納付税額はゼロになり、家族全体の納付税額は子2人の合計315万円になります。

Q

分け方を変えると相続税の総額は変わりますか

A

相続税の総額は法定相続分で分けたと仮定して計算するため、実際の分け方では変わりません。ただし、配偶者の税額軽減や2割加算は実際に誰が取得したかで決まるため、家族全体の納付税額は分け方によって変わります。

Q

2割加算の対象になるのは誰ですか

A

配偶者と一親等の血族(子と父母)以外の人です。兄弟姉妹、おい・めい、遺言で財産を受け取った孫、親族でない人などが対象です。代襲相続人になった孫は対象外ですが、孫を養子にした場合(代襲相続人でない孫養子)は対象になります。

Q

未成年者控除はいくらですか

A

18歳未満の法定相続人について、18歳になるまでの年数1年につき10万円です。1年未満の端数は1年として計算します。本人の税額から引ききれない分は、扶養義務者の税額から差し引けます。

Q

障害者控除はいくらですか

A

85歳未満の障害者である法定相続人について、85歳になるまでの年数1年につき10万円、特別障害者は1年につき20万円です。引ききれない分は扶養義務者の税額から差し引けます。

Q

相続税の端数はどう処理しますか

A

各人の課税価格と、法定相続分に応ずる取得金額は1,000円未満を切り捨てます。各人の納付税額は100円未満を切り捨てます。

Q

相続税の計算を自分でしても大丈夫ですか

A

預貯金や上場株式が中心で土地の評価が単純な場合は、国税庁の資料に沿って自分で計算する人もいます。土地の評価、小規模宅地等の特例、非上場株式などが関係する場合は、評価額で税額が大きく変わるため税理士への確認をおすすめします。

Q

相続税は現金で払わなければなりませんか

A

原則として申告期限までに金銭で一括して納付します。一括での納付が難しい場合は、要件を満たせば分割払いの延納や、不動産などで納める物納を申請できます。

出典・参考資料

本文の制度と数値は、次の公的資料に基づいています(2026年10月29日確認)。個別の事情による判断は、税務署や税理士にご確認ください。

計算の前に、財産と書類を整理しましょう

相続税の計算は、財産の一覧と評価額がそろってはじめて正確にできます。集める書類と取得先を先に確認しておきましょう。

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